なかなかレベルの高い学術書でした。文章堅めなので一般人にはちょっととっつきづらいかも。
渤海は700年代から900年代にかけて北朝鮮やモンゴルにかけて隆盛、新羅とは対立関係。
唐とは冊封関係にあり。契丹によって滅ぼされ東丹国となるが、
契丹は渤海時代に成立した首長制を踏襲した。
渤海時代にできた区分によって、朝鮮とモンゴルが分けられたといえる。
というのが大まかなところですね。
そしてとても重要なのが、日本通交関係にあったということですね。
ちょうど本書を読みはじめたところにブラタモリの「敦賀」で
渤海使に言及していてタイムリーでした。
番組で扱っていることに繋がってくるのは自分の勉強が進んでいるという証明になって
うれしいです^^
この通交関係は旧石器や縄文時代から存在した環日本海ネットワークの
最後の姿になるんですよね。
渤海が滅びた後はモンゴル方面が遠くなり、
見知らぬ国がいきなり征服してきた教科書の「元寇」という紋切型の
イメージになってしまいます。
元寇については12月に受講した講座で多めに扱っていたので別記事で触れたいですが、
近現代の大日本帝国や中国朝鮮による、満州の帰属をめぐって起こったのが
「歴史の争奪」であり
今も続いているということですね。日本は敗戦以降は参加していないと思いますが。
渤海には「東京龍原府」という首都があり、これが明治以降日本の首都「東京」の
語源になっていると言えそう。
満州がもとは日本と同族だったという見解は一つの事実ではあると思います。
でも戦前のように領土拡大の方便として利用するのではなく、
事実としての歴史の修正ができるといいですね。
東丹国からの使者を断ったことで国交が断絶してしまったのは、
古代日本としてはまだ意地があったんでしょうかね。
契丹にも縄文系のつながりはあるようなので、そんなに拒絶しなくても
よかったのかもですけどね。