忍者ブログ

お茶のこ彩々別館・古代史・神社のお話

日本の裏古代史(主に縄文~古墳時代。上古代の重要文献『ホツマツタヱ』)勉強中の一般人が、勉強で感じたことや神社を参拝した際の感想などを載せていこうと思います

2024年1月:明治大学黒耀石研究センター 普及講演会 『ヨーロッパ旧石器時代の洞窟壁画』

明治大学の講座です。

誰でも教科書などで見たことがあるレベルの知名度の
ラスコー壁画などに描かれている動物や、
その動物が洞穴のどの位置に配置されているかで
描かれた意図を研究しているとのこと。

動物の生息範囲ごとのグループにされていることも多く、
洞穴の奥の部屋には猛獣が多いそうです。

また動物の体に矢印が貫かれて描かれていることも多いのですが、
危険性の少ない動物にはあまり刺さっていないとのこと。
多い:バイソン35%・ネコ科猛獣66%
少ない:ヤギ(アイベックス)0%・馬5.9%・牛(オーロックス)5.74%・鹿13.63%

これらのことから狩猟の成功と対象動物の増殖を願って描かれたと分析されています。

今読んでいる古代エジプトの本で、動物を絵画にするとき整列させるのは
動物を人間がコントロールしたいという願望が表れているという記述があり、
壁画でも動物を同一方向に並べているのは同じような意図なのかもと思いました。

ルロワ・グーランの構造主義的な分析の紹介。
目立つ動物と一緒に書かれている記号だけでなく記号単体にも注目、
洞窟内の位置など全体的な目録を作ったそうです。

また、ショーヴェ洞窟の紹介。画材の木炭から年代測定ができる。
36,000年前と測定されているが、古い木炭を使っているならその年代で出る。
29,000年前の炉跡があるので実際描かれたのはその時期かも。

前半まとめ。描かれた意図の説は色々あるが、
どれか一つの説ですべての壁画の説明はできない。
よくわからないものをシャーマンの仕業にしがちだがそれも良くないと思われるとのこと。


後半パート、慶応大学教授・動物考古学がご専門
佐藤孝雄さんの旧石器時代の解説がとても良かったです。

ロシアのバイカル湖付近で長年発掘をされているけれど、
ここ数年のゴタゴタで行けていないそうで。
こういう方は生のロシアをよくご存じと思いますので、
米英サイドのオールドメディアのプロパガンダ通りでは
ないことも知っているのかなーなどと思いながら。

イルクーツクから200kmほどのマリタ遺跡
2万年前のマンモスハンターの遺跡。
骨はマンモス・ステップバイソン・トナカイが多い。

ウクライナのキエフ・メジリチ遺跡では
なんとマンモスの骨で作ったインパクト大の家が。
ただし骨の年代はバラバラなので、化石を集めてきたと思われる。
マンモスへのこだわりを感じられる。

また、ネアンデルタールよりサピエンスの方が
ウサギなど小動物の利用が高い。

日本は基本的に骨が残りにくい。
有名な野尻湖はマンモス多いが、花泉はほぼバイソン。吉岡遺跡群はイノシシ。
また尻労安部洞窟に注目。ナイフ形石器のそばにウサギの歯が95%の比率で出ている。

因みにウサギ猟は基本弓矢ではなく、
ワラダを投げて猛禽類の羽音に似た音で誘い出す伝統猟がある。
似たような手法を昔から採っていたかも。
というわけで、日本の旧石器猟は中小獣がメインだったのではと思っている。


更に後期旧石器時代の人類の知性についての佐藤教授の考察。

ショーべ壁画のバイソンは洞窟のくぼみのカーブから
バイソンのラインを見て描きだしているが、
これはサピエンスならではの知性なのでは。

ネイティブアメリカンのトーテミズムは
自分と動物を結び付ける考え。
レビ・ストラウスの「野生の思考」ではそれを劣ったものとしているが、
隠喩や暗喩は芸術に通じるのでは。

案の定近年見直されている。
「対称性人間学」=自身を取り巻く多様なもの・生物との関係性をとらえなおす
日本では中沢新一さんが研究。

また、壁画はサピエンスが描いたものとされている。
ネアンデルタールは埋葬する知性はあるが、
考えを統合する能力は劣っていたかもしれない、
ということが認知考古学で話題になっている。

以上が講演内容でした。

ところで素朴な疑問なのですが、絵を描いたのは女性・男性どちらなのでしょう。
こういう類のイメージ図では決まって男性が壁画を描いているんですけど。
全く関係ないフィギュアスケート選手の趣味の欄を見ていて思ったのですが、
女子選手の趣味は男子より「絵を描くこと」が多いんですよね。

と思って調べてみたら、やはり女性が描いていることが多いようです。
壁画に残された手形からわかるとのこと。
土器づくりは女性が多く担っていたということにも通じるかなと思います。
PR

コメント

プロフィール

HN:
茶人(別HN:さいおん南)
性別:
女性
自己紹介:
2019年までは普通のアニメ映画好き。この数年で一気に裏情報を知った者です。一応歴史を専攻していましたがそれまではそこそこ。裏古代史を知って俄然やる気が出てきて、人生史上一番本を読んでます

カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

P R